SAGA ANSHOZAN KOKUSO-JI

2021.08.18 お寺の豆知識

神様が宿る木「くすのき」とは?くすのきのパワーに迫る。

新緑の季節。今日も境内の大楠を見上げて思うこと

境内にある大楠の枝々に、瑞々しい新芽が出揃いました。

もうしばらくすると白く小さな可愛らしい花が枝葉を覆い尽くすことでしょう。

佐賀とクスノキの、長い長い関わり

暖地を好むクスノキは、九州地方に多く自生しています。とりわけ佐賀には大きく育ったものが古くからたくさん見られたようで、佐賀という地名自体が「大きく栄えたクスノキがある国→栄の国(さかのくに)→佐嘉→佐賀」という由来との説もあるほどです。

そんなわけで佐賀の県木は当然のようにクスノキなのですが、実は県花もクスノキの花なんですね!

國相寺の大楠は“大先輩”

クスノキは、防虫剤のほか湿布剤などの成分として古くから暮らしに利用されてきた「樟脳」の原料です。人の暮らしに身近に関わってきた長い歴史は、クスノキという樹木の持つ特徴といえるでしょう。

そんなクスノキのもう一つの特徴が、とても大きく立派に育つことです。その圧倒されるような威容から、御神木として崇められているクスノキの木は少なくありません。

当山のくすのきは、推定樹齢800年~1000年ともいわれ、佐賀市の天然記念物ともなっていて、御神木として大切にされています。國相寺の創建が350年ほど前と伝えられていますので、クスノキはお寺の大先輩。

境内にクスノキが生えてきたわけではなく、大楠のそびえ立つこの場所を選んで開山したということですね。

今日よりもずっと多くのことが神頼み、仏様頼みだったその昔、大楠の堂々たる姿に人々が抱く畏敬の念は、現代人よりもはるかに強かったことと想像されます。そんな人々の想いが高じて、大楠の洞(うろ)の中にお稲荷様が祀られるようになったのが230年ほど前のことです。現在は大楠のそばのお堂にクスノキの神様である楠森経王稲荷大明神をお祀りしています。

ゆっくり、ゆっくり……

クスノキは特別に成長が遅い樹木というわけではありませんが、それでも見上げるような大木にまで成長するにはかなりの歳月がかかります。じっくりと時間をかけて成長し、ついには立派な大木となるクスノキに喩えて、たとえ進み方はゆっくりでも着実に力をつけてやがて学問を大成することを「楠学問」と呼ぶそうです。

すぐに成果を出せないからといって焦る必要はないし、そもそも自分自身の進歩にはなかなか気づけないもの。学生さんだけではなく、大人にも言えることではないでしょうか。

コロナ禍が収束しないままに新年度が始まってからしばらく経ち、「環境の変化についていけていない」「頑張ろうというエネルギーが湧いてこない」などと感じている方もきっと少なくないでしょう。5月には楠森経王稲荷大明神様のお祭りもあります。外出もままならない日が続きますが、

「今日はちょっと外の空気を吸いに行こうかな?」と思われたときには、当山の大楠パワーをもらいに来てみてくださいね(^^♪


 

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