2021.08.21 お寺の豆知識
仏教といえばこの花!蓮の花の季節が到来しました
神秘的な美しさで水面を彩る蓮(ハス)は、おおむね7月頃、暖かい九州地方では少し早めの6月中から見頃を迎える夏の花です。
古くから親しまれてきた蓮の花はまた、仏教との関わりが大変強い花でもあります。
仏教に馴染み深く、しかも夏期に咲く花ということで、お盆になると蓮の花
(あるいは花後に肥大して蜂の巣のように見える花托)をお供えすることも一般的ですよね。
英語で「lotus」私たちも良く言いますね。ロータスと。
そっくり!?よく似た睡蓮と蓮の違いとは?
水から顔を出して咲く花には睡蓮(スイレン)もあり、蓮と混同されることも多いようです。
でも、蓮はハス科、睡蓮はスイレン科のまったく異なる植物なんですよ。
見分けるポイントは花の咲き方と葉の様子です。
睡蓮の花は水に浮くように、あるいは水面スレスレの位置に咲きますが、
蓮の花は水面から上方にスッと伸びた茎の先に咲きます。
なぜ蓮の花は仏教とつながりが深いのか?
蓮の花をモチーフとした常花(主に金属製の造花)がお寺の本堂などでよく見かけられますし、
お供え用の落雁でも蓮の花の形は定番。掛け軸とかにも蓮の花が描かれていますよね。
そして何より、仏像の台座は蓮の花の形をした「蓮華座」がもっともポピュラーです。
蓮の花の仏教との密接なつながりの理由はちょっと難しい話も含めいくつかあるのですが、
おそらく一番すんなりと納得しやすいのは、その見た目から想起される印象でしょう。
泥の中から清らかさと気高さを感じさせる花が咲き出る様子が、
煩悩だらけの俗世で悟りという大きな花を開くイメージに近いというわけです。
「清らかな心」「神聖」といった花言葉も蓮にぴったりですよね。
レンゲの8つの徳『蓮華の八徳』
もともと、蓮という字はいたるところで使用されます。
まずは『妙法蓮華経』『日蓮』などなど、お経のタイトルや日蓮さんのお名前の由来も実は『蓮華』から来ています。
お経の中にもこんな一説があります。
『不染世間法 如蓮華在水』(世間の法に染まらざること 蓮華の水にあるが如し)
蓮華の様にまるで泥水のような今の世の中でも、清らに咲く蓮華のような心に花を咲かせ生きる
という事です。また、蓮華には下記の8つの徳があるとされています。
『蓮華の八徳』
1、華果同時(けかどうじ)の徳。
蓮の華が咲くと同時に実が出来ているように、誰もが仏様になる性質をそなえていることを知る。
2、泥中不染(でんちゅうふせん)の徳。
泥の中にあって泥に染まらない清浄無垢な心を持つ。
3、一茎一華(いっけいいっか)の徳。
一つの茎に一つの華をつけるように、多くを望むことなく欲を出さない。
4、蓮糸織布(れんししきふ)の徳。
蓮の茎からできた糸で、敷物や着るものがつくられるように、慈悲の心で相手を思いやる。
5、蓮根食用(れんこんしょくよう)の徳。
蓮の根である蓮根は食べることができます。
自分の身を犠牲にしても相手を生かす気持ち。
6、不着水滴(ふちゃくすいてき)の徳。
蓮の葉の上の水滴が玉のようになって落ちるように、執着の心を無くす。
7、蓮果薬用(れんかやくよう)の徳。
蓮の実は薬として利用されます。
苦しんでいる人の苦しみを治し、助ける薬となる。
8、蓮台乗仏(れんだいじょうぶつ)の徳。
仏様が立たれたり、坐られたりする台のように、尊い境地を表す。
以上の8徳ですが、やはりどれをとっても深いいですね。
きれいな蓮を見るなら絶対に朝!
蓮の花は開いては閉じを3日前後繰り返しますが、開いているのは朝の時間帯だけ。
そのことを知らずに昼過ぎや夕方に見に行くと「蕾しかなかった」とがっかりすることになってしまいます。
朝といっても9時、10時となってくると早くも閉じ始める頃ですので、
きれいに咲く蓮の花を見たければ朝の早いうちがおすすめです。いつもより少し早起きして蓮池を訪れれば、清浄そのものといった蓮の花が一面を埋め尽くす光景に息を呑むことでしょう。
ところで、蓮の花を楽しめるのは池や濠だけではありません。
蓮の花の根っこに当たる蓮根(レンコン)は、ここ佐賀県の特産品としても知られています。
有明海沿岸部の白石町に代表される各産地では、“畑”に広がる蓮の花を楽しめますよ!
実は佐賀は仏教の聖地的な所だったりして。そんな考えも頭をよぎります。
以上。今日は蓮の花についての考察でした。
最後までお読みいただきありがとうございました(^^♪